○特急「東海」と身延線123系ラストランを追って…の旅

 2007年3月のダイヤ改正で姿を消す特急「東海」号と、JR東海の123系電車を追って富士山の周辺を旅してきました。

 特急「東海」号は165系電車(現在は全て引退)で運転されていた急行「東海」の後を引き継ぎ一日2往復、373系電車で東京〜静岡を結んでいましたが利用客の低迷から今改正で廃止が決定されました。
 この特急「東海」は、平日に伊豆方面に出かけた帰りよく利用していました。平日の伊豆方面からの特急列車は終電が早くこの「東海」が最終列車でした。その「東海」ですが実際に乗ってみると、乗客は自由席でも数えるほどしか乗っておらずほとんど貸切のような状態のときもありました。途中、平塚や大船といった新幹線が通らない駅にも停車し、それなりに利便性は良かったように思いますが、自分みたいな新幹線に乗るほどお金は出せないけどそれなりに速く、それなりに快適な電車で移動したいというニーズは多くなかったのでしょう。

 身延線の123系電車は、郵便車や事業用車両などから旅客車両に改造されたという変り種として知られていた車両です。(旅客車両から事業用車両へという改造例はいくらでもありますが・・・)
今回訪れてみると、飯田線などで使用されていた郵便・荷物合造車クモユニ147から改造されたクモハ123-5042と事業用車両クモヤ145から改造されたクモハ123-602の2両が運用についていました。この車両も翌日から313系に置き換えられることになります。

 今回の旅は、「ホリデー快速ビューやまなし号」で新宿を出発し11時30分甲府発の身延線・富士行きに乗り換えて富士まで乗りとおした後、富士宮まで折り返して芝川から来たクモハ123-5042を撮影。同列車に入山瀬まで乗車しここで回送されてくるクモハ123-602を撮影。さらに後発の西富士宮行き313系に乗車し西富士宮駅構内で留置中のクモハ123-602を撮影し、そのまま富士まで折り返し。東海道線熱海行きに乗り換えて函南駅で下車、同駅で「東海」3号最終列車を撮影し、先行する東海道線東京行きで東京駅に入り「東海」4号最終列車到着の姿を納めました。

「ホリデー快速ビューやまなし号」は、一応指定席を確保。1グループに1BOXくらいの乗車率。自由席も混雑している様子はありませんでした。身延線は、さすがに全区間走る電車が少ないため、ローカル線にしては混雑していましたが座れないほどではありませんでした。

◇身延線の旅
ホリデー快速「ビューやまなし」号から、11時30分発富士行きに乗り換え。


身延線は甲府市街を大きく回りこむように走る。遠景には八ヶ岳などの姿も。

市川大門駅。派手な駅舎があるが無人駅。

身延線も他のローカル線にもれず区間運転が多く、県境を越えて甲府〜富士を直通する列車は少ない。特急も走るがこちらも乗客は多くはない。

枝垂桜で有名な身延まで来ましたが、開花はまだ先のようだ。





身延線は断片の狭いトンネルが連続する。
車両もその規格に合ったものだけが運用される。



2両編成だがワンマン運転。運転手が車掌も兼務する。
扉は2両で片側6つあるが、無人駅では一番前の一つしか開閉しない。

沿線には梅や桃、桜など多く見られる。
これから春にかけて花に囲まれた鉄路になることだろう。

静岡県に入り、しばらくすると眼下に富士宮の市街が広がる。西富士宮からは運転本数も俄然多くなる。

富士駅に到着した313系電車。
折り返し、西富士宮行きになるのかと思えば、回送とのこと。

富士宮駅まで戻り、クモハ123-5042を待つ。

Nikon D2X
JPEG (8-bit) FINE
クロップ高速ON
レンズ: VR 70-200mm F/2.8 G
焦点距離: 200mm
露出モード: 絞り優先オート
1/640 秒 - F/7.1
感度: ISO 400

クモハ123-5042の車内。混雑が目立ち一両では対応しきれないというのも引退の理由のようだ。

入山瀬で下車し、西富士宮駅へ回送されていくクモハ123-602を撮影。

後続の列車に乗車し、西富士宮駅へ。
留置中の車両。



車輪には車止めがかけられています。もう運用につくことは無い。

クモハ123-602を富士よりから。


◇「東海」ラストラン
富士駅へ戻り、熱海行きの電車に乗車。
函南駅で下車し、ホームからまずは、テスト撮影。
函南トンネルを出た直後なのでヘッドライトがアップに。
したがって、極端な露出アンダーになってしまう。
この電車は片目(故障?)なので、それほど影響ありませんが、RAWで撮影して+EV1.0に後から補正している。










直前の列車。
かなり周囲は暗くなってきた。仕方が無いのでISO800まで増感。

+EV1.7 補正しても超アンダーになってしまう。

撮影データによれば、F3.2 1/4000秒とのことなので、マニュアルで絞り値はF3.2に固定、+3.0EVになるようシャッター速度を1/500秒に設定した。











そしていよいよ「東海」号がやってきた。

1/500秒でもまだかなりアンダーだ。
RAWで撮影したので後からレタッチで補正すればよいと安直に考えていたのだが、実際にやってみると、こういうギリギリの条件の場合、色転び&激しいノイズが生じるので断念せざるを得なかった。












最終列車を見送るため保線の人も出てきた。彼が列車に「安全」の合図を送ると、「東海」からピョーっと汽笛が返ってきて目の前を轟音を立てて通過してく。

RAWで撮影し+EV1.0補正…これがギリギリ。まだアンダーだが、スピード感が強調されて良かったということにしておく


Nikon D2X
RAW (12-bit)
クロップ高速ON
レンズ: VR 70-200mm F/2.8 G
焦点距離: 200mm
露出モード: マニュアル
1/500 秒 - F/3.2
感度: ISO 800



そして先発の列車で東京駅に入り、上りの「東海」号の最終列車を待つ。

ものすごい数のマニアが三脚を立てて待ち構えていた。隣の列車から身を乗り出している人もいる。

東海道線のホームは緩やかにカーブしているので望遠レンズを使えば、遠くからでも正面から撮影できた。ブレ防止レンズを使用しているので三脚も必要なかった。

この騒ぎを見て周囲の人に「あれは何か珍しい電車なんですか?」と尋ねられる。
「今日で終わりの電車なんですよ。」と返すと「なるほど。」と納得してもらえたようだ。

 欧米で鉄道趣味といえば、趣味の王様とされるが日本ではとても地位が低い。
それは、おそらく鉄道マニアのマナーの悪さが主な原因だと思う。
 今回も、沿線で線路内に立ち入ったりホームで三脚を立てたり列車にフラッシュを浴びせたりどう考えても鉄道会社に迷惑としか思えない行為をしている方々を多く見かけた。
 そんなこんなで、自分が鉄道を趣味にしていることは隠し続けていたのだが、堂々と公表しだしたのは、大学院でお世話になった青山先生(元東京都副知事・現明治大学公共政策大学院教授)の授業中での「私は鉄道マニアです」発言がきっかけ。

 こんな人が鉄道マニア発言しちゃうんだから、自分もしてしまおう!と思ったのだ。
鉄道趣味って暗い人の代表的な趣味のイメージがあるけれども、マナーを守って鉄道会社に協力的に望めば決して悪い趣味ではないと思う。
 現に今回もきちんと安全なポジションで撮影をしていれば保線の人が援助してくれたり、良いこともたくさんあった。今後もスマートに一生続けていきたい趣味のひとつだ。

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